「僕は図書室に本を借りに。今日、開放日だったから。それ、手伝おうか?」

委員長は借りてきた本を鞄へしまうと、私が作業してる机を指差した。

「えっ、いいの?」

人に何かを頼るのは苦手だが、今はそうも言ってられない。

「水瀬さんにはこの前、木から降りられなくなったところを助けてもらったから。そのお礼」

「委員長……ありがとう!助かる」

委員長が手伝ってくれたおかげで、冬馬くんを待たせるのは1分で済んだ。

それでも、遅刻は遅刻なのだけれど冬馬くんは「お疲れ様です」といつものように笑ってくれた。

「あれっ?そういえば冬馬くんバイクは?」

「あー、俺まだ免許取り立てで二人乗りできないんですよ。だから、今日はタクシーで向かいましょう」

怜央が率いる闇狼は法律を犯したり、むやみに人を傷つけたりはしない。

そんなチームであるということを、この1ヶ月で知った。

「二人乗りできるメンバーじゃなくて、わざわざ俺を寄越したってことは、瑠佳さんが他の野郎とニケツするのが嫌だったんじゃないですか?」

大通りに向かう途中、冬馬くんがそう口にした。