「肌見離さず持っとけよ。さっきみたいなことがまたいつ起こるかわかんねぇんだから」

「ありがとう。大事にする」

今日はもらってばっかりの一日だ。

私も何か怜央に返したい。

そのためには早く周囲に認知されないと。

姫の仕事を全うするためにも。


「そういや明日って時間あるか?」

「明日は休みだから朝から夕方までバイト。その後なら大丈夫だけど」

「さっきの電話、チームの奴からだったんだけど、瑠佳のこと紹介しろってうるさくて。俺も早めに姫だって伝えときたいから、1~2時間くれ」

「わかった。……服装とかって指定ある?」

変な格好で行って、怜央が舐められたら困る。


「ねぇよ。普段通りでいい。時間とかはまた帰ったら連絡するから」


「わかった」


話しながら歩いていると、あっという間に駐車場へと到着した。


「腕平気か。力はいるか?」


「大丈夫。もう赤くすらないよ。落とされないようにちゃんと掴まるから安心して」

「ん、なら行くぞ」

夜に乗るバイクは昼とはまた違って、周りの世界がキラキラとして見えた。