「腕、大丈夫か?一人にして悪かったな」

「ううん、平気」

「どこがたよ。赤くなってんだろ」


怜央はそう言うと、近くにあった自動販売機で水を購入した。

そして、それを私に手渡す。

「これで冷やしとけ」

「あ、りがとう」

「礼なんて言われる筋合いねぇよ。さっき傷ひとつ、つけねぇって言ったばっかなのに護れなかった」

傷……?傷なんて、つけられてないけど。

もしかして、この腕の赤みのこと?

「こんなの傷のうちに入らないよ!ほら、赤みももう引いてきたし。……それに、怜央はちゃんと私のこと護ってくれたよ。だから、そんなに落ち込まないで。ねっ?」

「別に落ち込んでねーよ」

本当かな?

一瞬、天を仰いだから気になったんだけど。

「私の方こそごめんね。あれくらい自分で対処しないとだめだったのに」

「いや。俺が近くにいたんだから、俺が護るべきだった。場合によっちゃ連れ去られてた可能性だってある」