「なっ何するんですか!放して下さい」
「まぁまぁ、ちょっとくらいいいじゃん。一人で暇なんでしょ?俺達と話そうよ」
一人の男がそう言うと、もう一人の男がニヤニヤしながら「そうだよ〜」と相槌をうつ。
「一人じゃないですし、暇でもありません」
腕を掴んでいた男を睨みつけながら言う。
しかし、男達は私の言葉に怯む気配はない。
それどころか、腕を掴む手にはさらに力が入る。
あまり大事にはしたくなかったが、ここは習った護身術を使って……。
「おい、お前ら誰の女に手出してんだよ」
今まさに技をかけようとしたその時、背後から聞こえた低い声。
「はぁ?」
そう言いながら立ち上がった男は、声の主を確認した途端、サーッと青ざめるとすぐに私の腕から手を離した。
「は、蓮見の女だったのかよ」
もう一人の男は慌てた様子で震えあがる。
そして、「俺らまじで知らなくて」と2人揃って言い訳を口にしてみせるが、怜央にそれが通用するはずもなく。
「ここがひと目の多い場所で助かったな。ほら、さっさと失せろよ」
さっきまで威勢のよかった男達は逃げるようにして走り去った。