「お前はさっさと俺の特別だってことを自覚しろ」

総長がここまで言うなんて。

姫というポジションはすごいんだな。なんて思っていたら、怜央は私の手をとって歩きはじめた。

突然のことで心臓がドクンッと跳ねる。

異性と手を繋ぐなんて10年ぶり位だ。

きっと、これも姫の任務のうちなのだろう。

そう思った私は彼の手を強く握り返した。


それから私と怜央はゲームセンター、ボウリング場、ファミレスなど高校生が多く集まる場所に足を運んだ。


怜央が100円で取ったアイスは不思議な味がして、2人で顔をしかめた。

初めてのボーリングではガターを連発し鼻で笑われた私。

ファミレスでは、私がバイトに明け暮れる理由を黙って聞いてくれた。

それはまるでデートのような一日で。

父が亡くなってからバイトばかりしていた私にとって、久々に誰かと過ごす放課後だった。

本当に側にいるだけでお金をもらってもいいのかな……?