「颯馬のことが好きなんだよね」



そんな、カミングアウトだった。


陽子ちゃんの告白を聞いて、一条くんのことが好きだった英里ちゃんのことを思い出した。


私はこういった恋の問題に巻き込まれることが多いらしい。


そうかもしれないとは予想はしていた。


教室内でも神代くんと陽子ちゃんはとても親しげで、私と神代くんが付き合っていると嘘のカミングアウトをされた時も、陽子ちゃんが一番に声を上げていた。


陽子ちゃんの神代くんを見る視線は他の人とは違ったから。


また、責められると思った。


英里ちゃんの時のように。


怖くなって、ギュッと目をつぶった。



「でも、颯馬のことは桜庭さんに譲るよ」


「……えっ」



陽子ちゃんの口から出た言葉は、予想外だった。


もっと私の颯馬を取らないでとか、鎌田くんから話を聞いて私のせいで神代くんがとか、何か言われると思ったのに。



「そりゃあ最初はさ、認められなかったよ」



陽子ちゃんは、はぁと大きなため息をついて私を見た。