翌朝、家を出ると春川が居た。遅刻常連の彼がなぜこの時間に居るのか。いや、それ以前になぜ僕の家を知っているのか。なぜ僕の家にいるのか。疑問はポンポンと浮かんできたが、春川が口火を切った。
「もう体調良いの?」
あぁ、そういうことか。彼は彼なりに心配してるんだな。同情、という言葉が頭に浮かんでフッと笑った。すると、春川が核心を突いてきた。
「あのさ、いっとくけど、俺、同情じゃないから」
思ってもみない言葉に思わず春川の顔を見る。彼は学校ではあまり見たことがないような真剣な顔をして、僕を真っ直ぐに見つめていた。
「同情で新田に声掛けたわけじゃないから。俺は病気関係なく、新田と話したいと思ったから。」
毎日フラフラしていてよく分かんない奴だと思っていたけど、こいつは案外良い奴なのかもしれない。幼い頃から学校に通えず、友人関係もままならなかった僕にとって、こうして真っ直ぐに自分と向き合ってくれる人がいたことが、素直に嬉しかった。
「さんきゅ。」