それは、肩に付くくらいの髪の長さでひとつ結びをしている女性ということ。
今のところりっちゃんの正体も、どうすればメールが届かなくなるのかも、誰も分かっていない。
一週間単位で一人ずつ町から女性がいなくなっていく。
私たちの出版している「怪談の里」は、そんな都市伝説や噂話を多く取り扱ってきた。
一つの話に使われる冊数は平均三、四冊。
それくらい立てば、何らかの情報は集まるし世間の注目度も下がっていくから。
しかし"りっちゃん"に関する内容はこれでもう十冊目。
にもかかわらず集まった情報はほんの一握りだけだった。