「初めての遊園地はどう?たのしいか?」
 とりあえずお昼ご飯を食べることにした二人はファストフードの店にいた。
「そうですね、楽しいかもしれません」
「最近よく笑うよな」
 優真の何気ない一言。だが無自覚だった大和は目を見開いて顔を触る。そんなことをしても確認できるわけがない。一つ一つのしぐさがかわいくて笑いを堪えるも肩が震えているため隠れきれていない。
「笑ってますか?」
「うん」
「・・・ならきっと先輩のおかげですね」
「俺に惚れたってことか?」
「そのあたりの感情は私は乏しいんですけど、そういうことなんでしょうか?」
「そこで俺に聞くのか」
「琴音と春斗に聞いてもよくわからなかったんで。なら目の前にいる先輩に聞くのが一番の得策かと。私に恋い慕ってくださってますし」
「まぁ、うん。そこ具体的に言われるとなんか・・・うん」
「あ、でも」
「ん?」
「琴音が言った一緒にいると楽しいっていうのは当てはまってますね」
「んじゃぁ、俺と付き合うか?」
「それは正解なんでしょうか?」
「付き合うのに正解なんてもんはない。でも俺と一緒にいると楽しいって思ってくれるようになったんだろ?」
「そうですね。心境の変化はありました」
 淡々と答える大和だが別に無感情というわけではない。感情が表に出にくいというだけで喜怒哀楽がある。それが理解できているのは琴音と春斗。優真も大和と一緒にいることで理解できるようになった。嫌なものは嫌というし、そういった意思がはっきりしている大和からの応え。
「俺は大和が好きだ」
「私はよく先輩を好きかどうかはわかりませんが、一緒にいて楽しいみたいです」
「試しに付き合ってみるか」
「そんな試供品みたいなことあるんですか?」
「たとえがよくねぇ。が、大和がその気がまだわからないならそういうこともできるってことだ」
「なるほど、試しだといいかもしれませんね。先輩も私への見方が変わる可能性もありますし」
「・・・なんでそんなマイナスなたとえしか出ないの?俺なしじゃいられなくなる可能性だってあるんだぜ?」
「大丈夫です。今一人暮らしなので」
「いや、そういう意味じゃなく」
 若干かみ合わない会話。今までそういった関係を持ったことが無い大和相手だとかみ合わないのも致し方ないのかもしれない。
「先輩が飽きるまで、という契約でどうですか?」
「一生来ないけど大丈夫か?その契約で」
「一生来ないんですか?」
 改めて聞かれて得意げに優真は微笑みかける。ほれた弱み。
「付き合うってことだな?」
「はい、少し楽しそうなので」
 大和の「よろしくお願いします」という言葉に優真は心の中で再びガッツポーズをした。