🐞28


何となく話がまとまりつつある頃
フローレンスが声を上げた。

「ん?
待って下さい!!
大伯母様、私あの お二人に
気持ちはありません。
ですから何もなさらなくて
いいのではないでしょうか?」


一同
((´(´・(´・_(´・_・(´・_・`(´・_・`)えっ

「あなた・・・
皇太子妃になれるのよ?
領家のお嬢様方が憧れる
リア様とロレンツォ様なのに?
お二人共それはそれはハンサムよ
スピリニッチールR国
ホースラデDーレーン国
ふたつの大国からのお話を
お断りするの?」


「容姿がいいのは知っています。
あ、あの~
お断りっていうか?
だって⑉・̆⌓・̆⑉・・・」


「お2人が嫌いなの?」
ケニーもフローレンスに優しく
きいて見た。


「嫌いっていうか?
何も感じ無いし…」


「誰か好んだ男性でもいらっしゃるのですか?」
ミシェルも聞いてきた。

カールもモーリスも腕を組んで
難しい顔をしていた。

.。oOこのままでは
スピリニッチールR国とホースラデDーレーン国の争いになるのは目に見えてる
・・・このリボンのどちらか
を選べば
ふたつの国は安泰
しかしフローレンスの気持ちもある
好きな男と添わせたい。

と顎を撫でながらモーリスは目を
瞑り考える。


.。oOリア殿下とロレンツォ殿下
仲違いするのは見え見え
まさか二人の想い人がフローレンス
だったとは・・・
なんて事だ!
どうしたら良いのだろう。
テーブルに伏せって頭を抱える
カール。

長い沈黙ガ流れる


シ━━━━━━━━━━━━━ン
コチコチと時を刻む音だけが
部屋中に響いた。









そしてウィリアムの一言で
事態は動き始める。

「分かった、
ワシとフローレンスで行こう!
あの魔女達はザブラルグルブ国を美桜皇妃と共に悪魔女から
守ったと聞いている。

それに色々難問解決されていると
噂高い‼️
美桜様も中々の才女らしいし
いい考えが思いつかれるかも
しれん。
ここで、頭を並べて考えても
仕方あるまい。
ご相談に乗って頂こう。」



「ウィリアム様、私も同行いたし
ます。
娘の事なのに知らぬフリは、
出来かねます。」

モーリスも口をだす。
話を聞いていたフローレンスは
美桜皇妃に興味がわいてきた。

「えーそんな凄い人達なのですか?会ってみたい✨」
フローレンスの目はキラキラ✨

なんという単純な・・・
とフローレンスの思いも寄らぬ
考えに呆れてしまったが
まあ動かないと始まらないと
思い直す一同だった。


「善は急げ
フローレンスをみんな探している
早く報告する為には解決しなけ
ればならない。
すぐにでも出立したい。」

「はい、義伯父上
丁度、車で参りました
すぐにでも出ましょう。
腕に自身はあります、運転は
お任せ下さい。」
とモーリスは自信満々

(ʘ╻ʘ)!エッ!?!ミシェルは
ポンコツな穴ほげのー、危ない新車?か?
フローレンスが言う新車は?
マフラー落ちて
ヒバナバリバリのアノ新車?

まさかな〜あれにウィリアム様を
乗せる気じゃないよね?
とミシェルは不安な気持ちを
押し殺した。

「はい、お父様、わたくし
凄く美桜様に興味わきました
行きましょう。」

なんでも興味津々なフローレンス
はテーブルに置かれたサンドイッチ
をパクパクパク

急いで平らげた。
食いっぷりに度肝を抜かれた
一同もつられて食べ始めた。



食事も終わるとスカーレットが
言った。
「待ってフローレンス
服を着替えなさい、あなた
少し待ってください。」

今更ながら気づくの遅かったが
まあ、気持ちに余裕が無かった
のは仕方が無い!


「ああ、分かった急ぎなさい。
私は車で待っている。
着くのは夕方になるだろう。」


仕立てのいいグレーのスーツに
ルノーが用意してくれていた
手土産をもちウィリアムが
モーリスの車まで来た。

「モーリス?車は?」
とウィリアムは聞いた。

「義伯父上?目が悪く
なられたのですか?」
バンバンと車を叩き
「ここにあるではありませんか?」


そのバンバンの振動か?
元々のボロい車体のなせる技か?
ボトンプラプラとドアが外れて
揺れていた。
表は塗装されているが裏は錆
だらけのボロッボロ

「チッまたかー」
とモーリスは呟くと
ドアを抱えガシンガシンとはめた。
はまるところに感動すらする。

ウィリアムはズッコケていた
冗談じゃないのが信じられない
と呟くウィリアムだった。


「お父様ー、大伯父様お待たせ
しましたー」

クルクル巻き毛にした
薄い全体モスグリーンのオレンジ色のレースが胸を飾る可愛らしい
ワンピースに着替えたフローレンスがかけてくる。


「あれ?
お父様の新車じゃないの?」



「ああ、伯父上が遠慮されてな」



「あ、あははは、ワシは
まだ生きていたいからな!
せ、詮索はいいから
早く乗りなさい。」


.。oOw
ウィリアムの頭にはポンコツカー
が浮かんだ、稀に見るポンコツさだ
修理を自分でして、お金をかけないのは、さすがーモーリス、見上げたものだ
然し私も残り少ない命をかけたくない!!


「行くぞ」
そう言うとフローレンスとモーリスとウィリアムを乗せた高級車はザブラルグルブへ向けて走り出した。
運転手は一度、フローレンスを
子爵家まで送り届けた彼だった。

「お久しぶりです
フローレンス様、私はマイケル
と申します。」



「ああ、あの時の
お世話になりました。
又よろしくお願いします。」

にっこり笑うフローレンスに
マイケルも

「こちらこそ
よろしくお願いします。」
と微笑みかけた。


そしてマイケルの運転で車は
ザブラルグルブへと動き
だした。


夕方に着くと思っていが
夜を超えた。

マイケルに疲労が見えて来たので
モーリスが変わって運転する。

永遠に続くと思われた山越えや高速も平たい土地に入り街並みに変わって見えてきた。


ザブラルグルブに着いたのだと
案内標識が教えてくれる。

「確かこの辺にあるカフェ
のハズ、だが・・」

大きなラクサのオレンジ色の花が
枝垂れるようにさいていて
その向こうに煙突から煙が上がっているのが見えた。


「お父様あれ👉」


「あれか!」

「じゃないかな?」
そう答えるフローレンスの言うよ
うにモーリスは方向を変えガタゴトした舗装されていない道に入る。

遠くから見えた1本の大きなラクサの木を抜けると
ガラス貼りのアンティーク調な
家具を揃えたカフェが現れた。

そしてそこら一帯に菜の花の匂いと
ラクサの甘い花の香りを割るように珈琲豆を焦がすような芳醇な
香りがする。

野の花も競うように咲
ビルのそびえる向こう側とは
別世界にもみえる。

車は枝垂れた大きなラクサの木の
前で止まった。


「大伯父様着きましたよ。」

「・・・お、お父様?
どうされたのですか?
あれ、マイケルさん?」

ウィリアムも、今まで運転して
いたモーリスもマイケルさんも動かなくなった。

フローレンスが慌てていると


- ̗̀ コンコン ̖́-
ふとドアを叩く音がした。

フローレンスが窓を開けると
色白の背の高いスラリとした男性
が立っていた。


フローレンスが慌てながらいう
「あ、あのすみません
みんな寝てしまって、私運転
出来ないので車を移動できません」


その紳士は26歳位の方で白いシャッ
にワインカラーの長いエプロン
をつけて髪は短い七三に分けられ
て清潔感漂う人だった。


「かまいませんよ
運転のお疲れが出たのでしょうか?いらっしゃいませ
ようこそ
お待ち致しておりましたよ
フローレンス様」

フローレンスは、いきなり名前を
呼ばれて目を丸くする。

彼はロックがかかっているはずの
ドアを開け細い腕に軽々と
毛布を三枚持っていて大伯父と
モーリスとマイケルに掛けた。


彼の肩には黒い猿がいた。

「ウワッ、可愛い♡」

猿は直ぐフローレンスの首に
抱きついた。


「コラコラ、ミャン」

「大丈夫です、ミャンって
言うのー可愛い♡」

とフローレンスが頬ずりをして
頭をなでると彼がニコニコしながら

「マヤとアリアとタニアとジュリアが待っています。

ご案内します、あ、
私はピットと申します、さあ
行きましょう。」

そう言うとドアを開けてくれた。
あまりの紳士な態度にフローレンス
の警戒心も無くなった。

フローレンスは言われるまま
ピットの後を着いて行った。


カランカラン
ドアベルが豪快に鳴る。

「いらっしゃい」

ふくよかな顔でおっとり優しそうな23か4の可愛らしい女の人が声をかけ

その声と同時に背の高い黒髪の
スラリとしたモデル系美女と
ふっくらポチャポチャの可愛
らしい人が出てきた。

そのあと
背は159か60で美人だけどちょっと近寄り難い系の人が何処からか
現れフローレンスを取り囲んだ。

店にはまだ客の姿は見えない。
時計を見るとAm七時


「フーム、アンタがフローレンス
かい?」
近寄り難い彼女が言う
4人はフローレンスをジッと見ている。フローレンスはタジタジ


「あ、ああゴメンゴメン
私はマヤ」
近寄り難い彼女が優しく笑いながら言った。

「私はアリアよ」
背の高い彼女もニッコリと笑う。

「私はタニアよ、コッチは
ジュリア」
とニコニコしながら話かけてきた。

「ごめんなさいね
カフェ客以外のお客さんは
久しぶりだから私達も驚いてね。」
と、ふくよかな彼女は言う。


「ああそうだピット、時間を
止めてちょうだい
この時間だとモーニングの、お客さんで満席になるわ。」

oOモーニング?
夜中と思っていたらまさかの
朝?

ピットさんが現れて
「OKマヤ」
そう言うと彼はカップに注いだ
水をグルグルとスプーンでかき混
ぜた。
カップの渦か消えると




飛んでいる鳥が空中で停止ボタン
を押した様に止まり
ラクサの木も風になびいたまま
絵画のようにも見える。

動いているのはこのカフェの空間のみ!

テーブルにはブラックコーヒー
が並びマヤさんがチラッと
フローレンスを見て

「取れたてのミルクね」
そう言ってフローレンスの前には
ホットミルクが置かれた。


「えっ」
私がミルクのほうがいいなー
の声が聞こえたの?

野菜をタップリ挟んだサンドイッチ
が食べたいなぁ!
と心の中で言ってみた。

「サンドイッチは皆さん
と食べましょう
ちゃんと朝食の用意はしてあるわ」


「ドキッ!! ヤ ッパリ」

聞こえてる。

心の声