明石に押し切られるかたちで、香魚子は医務室で休むことになった。
「水買ってきたけど飲む?」
「ありがとうございます。」
香魚子はベッドの上でペットボトルを受け取った。
「ちょっと眠れば?起きるまでついてるよ。」
「い、いえ!それはさすがに…」
(寝顔見られるなんて恥ずかしすぎて無理すぎる…)
「やっぱり寝不足だったんだね。」
「…すみません…。」
香魚子が観念したように言うと、明石はまた溜息を吐いた。さきほどの溜息とは違って少し困ったような優しい雰囲気だった。
「会社のせいもあるけど、寝不足にしてしまったのは俺のせいだね。ごめん。」
「いえ!明石さんのせいじゃないですっ!」
香魚子は慌てて否定した。
「私、ずっと考えちゃって…。会社のテイストのこともそうなんですけど、その…明石さんの考える会社の将来に私はいるのかなって。」
「会社の将来?」
「はい、川井さんはいるみたいだったけど…私は…」
「ああ、この間言った話か。そうだね、川井さんとか鴇田みたいな営業の若手が会社の将来を良くしてくれたらいいなって思うよ。」
「……私は…いますか?」
明石は眉を下げて苦笑いするような表情をした。
「いない。」
(やっぱり…)
予想はしていたが、はっきり言われると辛い。香魚子の表情が一瞬で曇った。
「ちなみに俺もいない。」
明石が言った。
「え?」
「福士さんを寝不足にしたのはやっぱり俺の責任。俺が理由を言わずに目的もゴールも見えないような状態でデザインさせてしまったから。」
「理由?」
明石は頷いた。
「いつ言おうか、言っていいのか、すごく迷ったんだけど…」
明石にしては口が重い。
「俺ね、会社辞めようと思ってるんだ。」
「水買ってきたけど飲む?」
「ありがとうございます。」
香魚子はベッドの上でペットボトルを受け取った。
「ちょっと眠れば?起きるまでついてるよ。」
「い、いえ!それはさすがに…」
(寝顔見られるなんて恥ずかしすぎて無理すぎる…)
「やっぱり寝不足だったんだね。」
「…すみません…。」
香魚子が観念したように言うと、明石はまた溜息を吐いた。さきほどの溜息とは違って少し困ったような優しい雰囲気だった。
「会社のせいもあるけど、寝不足にしてしまったのは俺のせいだね。ごめん。」
「いえ!明石さんのせいじゃないですっ!」
香魚子は慌てて否定した。
「私、ずっと考えちゃって…。会社のテイストのこともそうなんですけど、その…明石さんの考える会社の将来に私はいるのかなって。」
「会社の将来?」
「はい、川井さんはいるみたいだったけど…私は…」
「ああ、この間言った話か。そうだね、川井さんとか鴇田みたいな営業の若手が会社の将来を良くしてくれたらいいなって思うよ。」
「……私は…いますか?」
明石は眉を下げて苦笑いするような表情をした。
「いない。」
(やっぱり…)
予想はしていたが、はっきり言われると辛い。香魚子の表情が一瞬で曇った。
「ちなみに俺もいない。」
明石が言った。
「え?」
「福士さんを寝不足にしたのはやっぱり俺の責任。俺が理由を言わずに目的もゴールも見えないような状態でデザインさせてしまったから。」
「理由?」
明石は頷いた。
「いつ言おうか、言っていいのか、すごく迷ったんだけど…」
明石にしては口が重い。
「俺ね、会社辞めようと思ってるんだ。」