JSOTの設営日、プライベートショーと同じく企画デザイン部は総出で設営にあたっていた。
香魚子は部署のメンバーの顔と、飾られていくブースを見渡した。
つぎつぎにブースに陳列されていくのは鷲見自身や香魚子たちがデザインした鷲見のイラストの商品ばかりだ。
レターセットのコンペの時も鷲見の発表時は営業から称賛の声が上がっていた。
(やっぱり私はテイストが合ってないんだよね。)
「いらないダンボール片付けたいね。台車持ってこようか。」
先輩デザイナーが言った。陳列が進み、空箱が増えてきていた。
「私持ってきます。」
香魚子が片付け用の台車を取りにいくことになった。広い会場の端の方まで歩いていかなければいけない。
「あれ?福士さん?」
歩いていると、ふいに声をかけられた。
「え?」
声の方に顔を向けると、柏木が立っていた。
「あ!柏木さん!」
「設営?って、それしかないか。」
「はい。星野も出展するんですね。きっと新商品も並ぶんですよね。」
「うん。今回お披露目の商品、結構おもしろいから福士さんも時間あったら見においでよ。」
「はい、ぜひ。」
香魚子はにこっと笑った。
「ピーコックも新商品並べるんでしょ?」
「はい、まぁ…」
「あれ?新商品イマイチな感じ?あ!サンプル間に合ってないとか?」
「あ、いえ、サンプルは間に合ってるし、その…ピーコックらしい新商品がたくさん並びます。イマイチとかではないです。」
香魚子は笑顔で答えたが、目は伏せてしまっていた。
「なんか元気ないね。」
「え」
「デザインやってる?明石が福士さんがデザイン見せてくれるって楽しそうにしてたけど。」
「………」
今明石の名前を出されるのは辛い。
「私、今ちょっと…いろいろダメで…」
思わず弱音が溢れてしまう。
「もしかして、明石まだ何も言ってないんだ?」
「何も?なんのことですか?」
香魚子には柏木の言葉の意味がわからない。
何もピンときていない香魚子の表情を見て、柏木は腕を組んで逡巡した。
「いやー…でもなぁ、明石には明石の考えがあるだろうし…」
柏木がぶつぶつと呟いている間も、香魚子はキョトンとしたままだった。
「ま、いいや。詳しくはそのうち明石から話があると思うけど、福士さんは全然ダメじゃないよ。明石も俺も君のファンだから。」
「……はぃ…。」
(はぁ…柏木さんに慰めさせてしまった…)
香魚子は台車置き場までとぼとぼと歩いて行った。
香魚子は部署のメンバーの顔と、飾られていくブースを見渡した。
つぎつぎにブースに陳列されていくのは鷲見自身や香魚子たちがデザインした鷲見のイラストの商品ばかりだ。
レターセットのコンペの時も鷲見の発表時は営業から称賛の声が上がっていた。
(やっぱり私はテイストが合ってないんだよね。)
「いらないダンボール片付けたいね。台車持ってこようか。」
先輩デザイナーが言った。陳列が進み、空箱が増えてきていた。
「私持ってきます。」
香魚子が片付け用の台車を取りにいくことになった。広い会場の端の方まで歩いていかなければいけない。
「あれ?福士さん?」
歩いていると、ふいに声をかけられた。
「え?」
声の方に顔を向けると、柏木が立っていた。
「あ!柏木さん!」
「設営?って、それしかないか。」
「はい。星野も出展するんですね。きっと新商品も並ぶんですよね。」
「うん。今回お披露目の商品、結構おもしろいから福士さんも時間あったら見においでよ。」
「はい、ぜひ。」
香魚子はにこっと笑った。
「ピーコックも新商品並べるんでしょ?」
「はい、まぁ…」
「あれ?新商品イマイチな感じ?あ!サンプル間に合ってないとか?」
「あ、いえ、サンプルは間に合ってるし、その…ピーコックらしい新商品がたくさん並びます。イマイチとかではないです。」
香魚子は笑顔で答えたが、目は伏せてしまっていた。
「なんか元気ないね。」
「え」
「デザインやってる?明石が福士さんがデザイン見せてくれるって楽しそうにしてたけど。」
「………」
今明石の名前を出されるのは辛い。
「私、今ちょっと…いろいろダメで…」
思わず弱音が溢れてしまう。
「もしかして、明石まだ何も言ってないんだ?」
「何も?なんのことですか?」
香魚子には柏木の言葉の意味がわからない。
何もピンときていない香魚子の表情を見て、柏木は腕を組んで逡巡した。
「いやー…でもなぁ、明石には明石の考えがあるだろうし…」
柏木がぶつぶつと呟いている間も、香魚子はキョトンとしたままだった。
「ま、いいや。詳しくはそのうち明石から話があると思うけど、福士さんは全然ダメじゃないよ。明石も俺も君のファンだから。」
「……はぃ…。」
(はぁ…柏木さんに慰めさせてしまった…)
香魚子は台車置き場までとぼとぼと歩いて行った。