【フラムって店。18:30から明石で予約してあるから。】

明石から店の地図付きのメッセージが届いた。
(返信…スタンプを使っていいのかダメなのか…)
【了解しました。予約ありがとうございます!】
散々迷った挙げ句、無難なメッセージを返した。
———ピコンッ
明石から【よろしく】と描かれたシロクマのスタンプが届いた。
(……かわいい…。)
香魚子もスタンプで【よろしくお願いします】と返した。
———ピコンッ
【鮎のスタンプとかあるんだ。ウケる。】
(笑われてしまった…。)


指定された店に到着すると、奥の半個室の席に通された。
明石と、もう一人明石と同じ年頃と思われる男が先に席についていた。
「あ、お待たせしました。」
「おつかれ。こっちも今来たとこだから大丈夫、座って。酒飲める?」
明石が言った。
「えっと…明日は受付係で早いので一杯だけ。」
「料理もなんでも好きなもの頼んでね。」
「俺肉食いたい。」
連れの男が言った。
「お前は相変わらずだな。」
(誰なんだろう?そもそもなんの会?)
香魚子が疑問に思っている間に飲み物が届いた。
「じゃあ、ひとまず乾杯しようか。おつかれさま。」
『おつかれさまです』
「えっと……」
香魚子は相手が何者なのかわからず、どう会話を始めれば良いのか戸惑っていた。
「お前なんも言ってないんだ?」
男が明石に言った。
「うん、今日はそういう話がしたいわけじゃないからさ。とりあえず顔合わせ的な?」
「なんだよそれ。」
「福士さん、こいつは柏木(かしわぎ) 健太郎(けんたろう)。星野ステーショナリーで営業やってる人。」
「よろしくー。」
柏木はにっこり笑った。
「福士 香魚子です。よろしくお願いします。星野の商品よく買います。」
香魚子も笑って挨拶した。
星野ステーショナリーといえば、ピーコック社よりも老舗の会社だ。
(星野の営業さんと私を会わせたい?何故…?)
よくわからないまま、食事の席は進んでいった。