一瞬、ひかれるのではと思って、とっさに体が強張った。
だけど、そのバイクはわたしの前に止まったまま、動こうとしない。
まるで、行く手を阻むかのように。
不審に思ったわたしは、すぐさま後ろへ引き返そうとした。
それなのに、わたしの後方にも違うバイクが勢いよくブレーキをかけて止まり、わたしはバイクとバイクに挟み込まれるようなかたちになってしまった。
運転手はフルフェイスのヘルメットを被っているせいで、表情は読み取れない。
でも、なんとなくわたしに視線を移しているのはわかった。
そのあとに、数台のバイクもやってきて、わたしは完全に包囲されてしまった。
「な…なんですかっ」
キュッと詰まった喉の奥から、なんとか声を絞り出す。
「…あんたが、向坂慈美か?」
フルフェイスの向こう側からそう尋ねられて、ドキッとした。
だけど、そのバイクはわたしの前に止まったまま、動こうとしない。
まるで、行く手を阻むかのように。
不審に思ったわたしは、すぐさま後ろへ引き返そうとした。
それなのに、わたしの後方にも違うバイクが勢いよくブレーキをかけて止まり、わたしはバイクとバイクに挟み込まれるようなかたちになってしまった。
運転手はフルフェイスのヘルメットを被っているせいで、表情は読み取れない。
でも、なんとなくわたしに視線を移しているのはわかった。
そのあとに、数台のバイクもやってきて、わたしは完全に包囲されてしまった。
「な…なんですかっ」
キュッと詰まった喉の奥から、なんとか声を絞り出す。
「…あんたが、向坂慈美か?」
フルフェイスの向こう側からそう尋ねられて、ドキッとした。