そう言って、由奈はいつもの道とは逆の方向を指さした。


「そういえば、今から例の男の子とデートだっけ?」

「デートじゃないよ〜。ちょっと遊びに行くだけっ♪」

「そっか。楽しんできてね」

「うん!なんか進展あったら、慈美に報告するね♪」


由奈は満面の笑みで手を振ると、軽い足取りで行ってしまった。


黒髪美女の由奈は、男の子から人気がある。

愛嬌もいいから、街を歩けば絶対に声をかけられるほど。


今日はこれから、この前紹介してもらった男の子と遊ぶ約束をしているんだそう。

写真を見て、「イケメン!」と大絶賛していたから、会うのを楽しみにしていた由奈。


うまくいくといいな。


そう思いながら、わたしは家へと帰るのだった。



――しかし、由奈と別れて数分後。


突然、わたしの目の前に大きなバイクが突っ込んできた。