『むしろ、慈美になら何度だってくれてやるよ。俺のキスでよければ』

『…かわい、慈美』


わたししか知らない、彪雅の一面だ。



「言っておくけど、こんなにだれかを好きになったのは…慈美が初めてだからっ」


彪雅の熱を帯びた色っぽい瞳がわたしを捉える。


そんなこと言われたって――。

わたしだって、まだ会ったばかりなのに、こんなにドキドキしてしまったのは、彪雅が初めてだよ。



きっかけは、酔っ払ってしまったわたしのキスだったかもしれない。


だけど、そのキスがなかったとしても、遅かれ早かれこうなる運命だったに違いない。


なぜなら、まるで引き寄せられるように出会い――。

そして、本能的に惹かれ合った。


理屈なんてない。

彪雅のことが好き。


ただ、それだけなんだ。