一体、どんな無理難題を言い渡されるのだろうか…。


わたしは、ごくりとつばを飲み込んで、彪雅から発せられる次の言葉を待った。


――すると。


「俺の女になれよ」


耳元に響いた……そんな声。


驚いて振り返ると、その瞬間にわたしは唇を奪われた。


柔らかくて、温かくて、気持ちよくて。


だから、わたしは自然と目をつむって、彪雅のキスを受け入れていた。



少ししてから唇を離すと、わたしを見つめる彪雅と目が合った。


「今のが答えって思っていいんだよな?」

「で…でも、わたしたち…今日会ったばかりなのにっ…」

「そんな今日会ったばかりの慈美に、俺は理屈なんて関係なしに惚れてる」


…彪雅が、……わたしのことを?

そんな素振り、これっぽっちもなかったのに…。


「…慈美は?違うの?」