『穴があったら入りたい』とは、このことだ。


自分のファーストキスはおろか、彪雅のファーストキスまで勝手に奪ってしまうなんて…。

しかも、それを覚えていないなんて…最悪だ。


「彪雅…、ごめん。本当にごめんね…」


せっかくわたしを助け出してくれて、ここにしばらく置いてくれると言ってくれたのに、初日からこんなんじゃ…もうここにいれない。


それに、勝手に勘違いした自分が恥ずかしすぎて、彪雅の顔もまともに見れない。


「やっぱりわたし…、ここにいないほうがいいかもね」


そう言って、ベッドから立ち上がろうとした――そのとき。


「逃さねぇよ」


急に手首をつかまれたかと思ったら、わたしはその反動で再びベッドの上へ。

そして、後ろからギュッと抱きしめられたのだった。


「今さら、なに恥ずかしがってんだよ」