そうとは知らずに、わたしは自分で缶チューハイを手に取り、飲んでいたのだった。


どうりで、やたらと眠たくて…。

体がぽかぽか、ぽわぽわすると思ったら…。


あのとき、わたしはすでに酔っ払っていたらしい。



「それにしても、アルコール3%の缶1本で酔うとはな」

「しょ…しょうがないでしょ!お酒なんて、飲んだことなかったんだしっ…」

「酔っ払うのは仕方ないとして、それでキスしてくるのは困りものだけどな」


彪雅は、わたしに意地悪く笑ってみせる。


確かに、彪雅の話に矛盾点はなく、酔っ払ったわたしからキスしたと考えると、すべて納得がいく。


初め、あれだけ彪雅のことを疑っていたけど――。

どうやら、悪いのは…わたしらしい。



「…ごめんなさい」


わたしは恥ずかしさでいっぱいで、消え入りそうな小さな声で謝った。