それが、あの状況というわけだ。



…にわかには信じがたい。

記憶がないのに、なぜ自分がそんなことをしてしまったのかもわからない。


だけど、彪雅にはわかっていた。


「これのせいだよ」


彪雅が持ってきたのは、わたしが眠る前に飲んでいたレモンの缶ジュース。


「それが…なに?」

「ここ見ろよ」


そう言って、彪雅は缶に書かれていたある表記を指さした。


そこに、目を凝らして見てみると――。


「アルコール3%…」


と、書かれてあった。


「アルコールって…つまり」

「ああ。慈美がさっき飲んでたのは、酒だよ」


…驚いた。


てっきり、レモンの缶ジュースだと思っていた飲み物は――。

実は、レモンの缶チューハイだった…!


「…俺も悪かったよ。冷蔵庫のもの適当に飲んでいいからって言ったけど、中に酒も入ってることは言ってなかったから」