…え?

彪雅も、初めてのキスの相手が……わたし?


「じゃあ…、どうしていきなりこんなことっ…」

「それは……」


彪雅は、どこか言いづらそうだ。

視線も逸らして、言葉に迷っている。


しかし、それから少しして、意を決したようにわたしに目を向けた。


「…それはっ」

「それは…?」

「キスしてきたのが…俺じゃなくて、慈美だから」


彪雅の言葉を聞いて、一瞬目が点になった。


…えっと。

彪雅…、今なんて…?


キスしてきたのが、…彪雅じゃなくて――。

……わたしっ!?



「えっ…。えぇ…!?…ど、どういうこと…!?」


だって、…そんなはずがないっ。

今日会ったばかりの人と、キスなんてできるわけがない。


だけど、彪雅の表情を見る限りでは、どうやら嘘をついているようにも見えない。