そのあと、シャワーを使わせてもらって、彪雅のブカブカの部屋着も借りた。


「お前には、デカすぎたな」


服の袖や裾を何重にも折り曲げたわたしの格好を見て、彪雅が笑う。


「…しょうがないでしょ!それに、『お前』じゃないからっ」

「ん?」

「わたしの名前は、『慈美』。彪雅にも名前があるように、わたしにだってちゃんと名前があるんだから」


そう言って、わたしが少し怒ったような態度をしてみせると、彪雅がまるでわたしをなだめるように頭を撫でた。


「悪かった。だからあんまり怒るな。なぁ、慈美」


そうして優しく頭を撫でられると、むくれたフリをするのが疲れてくる。

だって、彪雅の手は大きくて、心地よくて、顔が緩んでしまいそうになるから。



それから部屋でくつろがせてもらっていると、ふと気になることを思い出した。