それに、1人や2人じゃない。

何十人もこの場にいることが、見なくたってすぐにわかった。


しかもみんな、この黒髪の人のことを…『総長』と呼んでいる。



「総長…、その女の子は?」


もちろん、黒髪の人が抱きかかえているわたしに目がいく。


「MiLLiONに狙われてた。だから、しばらくはここで預かることにした」

「またあいつら、そんなことをっ…」

「もし、MiLLiONの連中が近くをうろついていたら、すぐに俺に知らせろ」

「わかりましたっ!!」


そんなやり取りが聞こえて、賑やかな空間を通り抜けたあと、急に静かな部屋へと入った。

そして、被されていた上着を剥ぎ取られる。


「あ…あの、ここは…?」


わたしは、キョロキョロと辺りを見回す。


目に見えるのは、ガラスのテーブル、ソファといった黒で統一された家具。