その状況は回避できたけれど、それとは違って、わたしはだれかもわからない謎の黒髪の男の人のバイクに乗せられている。


この人だって、なにが目的であの場に現れて、バイクにわたしを乗せたのかは…わからない。


やっていることは、MiLLiONと同じだ。


――だけど。

わたしは、なぜかこの人の背中に安心してしまっている。


ついさっき会ったばかりなのに、この人なら信頼できる。


勝手に、そんなふうに思っている。


なぜなら――。


「…大丈夫か?もう少しだから、このまま俺の背中につかまってろ」


雨に濡れるわたしを気遣いながら、ぎこちなく背中に添えていたわたしの手をギュッと握ってくれた。


その温かさと優しい言葉に、わたしは心地よさを感じていた。



これから、どこへ連れて行かれるのかはわからない。