「…だそうだ。悪いが、こいつは俺がもらっていく」

「おいっ、待て!!…一之瀬(いちのせ)――」


銀髪の人がそう叫ぶのも聞かずに、黒髪の人はわたしの手を引いて自分のバイクに乗せると、そのままその場を走り去ったのだった。


…一瞬の出来事だった。


頭の中を整理すると、わたしはマイ先輩の指示で『ＭｉＬＬｉＯＮ』という暴走族にマークされるハメになった。

さらに、そのＭｉＬＬｉＯＮの総長にたまたま目をつけられた。


「オレの女にしてやる」と言われ、それを断ったがために、わたしはＭｉＬＬｉＯＮのアジトへ連れ去られそうになり――。


しかし、突然現れた黒髪の男の人によって、その場から逃れることができた。


ＭｉＬＬｉＯＮのメンバーのバイクに乗せられてしまっていたら、わたしはどうなっていたかわからない…。