怯えるわたしに、銀髪の人は手を差し出す。

そんなことしたって、だれがその手を取るものか。


そう思っていると――。


「安心しな」


銀髪の人が、ぽつりとそうつぶやいた。


…『安心しな』?

って、どういう意味……?


「確かにマイの頼みは引き受けたが、気が変わったんだ」

「気が…変わった?」

「ああ。マイが言うからどんな生意気なガキかと思ったが、意外といい女だったていうのを仲間から報告を受けてな」


どうやら、初めてバイクの集団に囲まれたとき――。

あのときは、本当にわたしを連れ去るつもりでいたらしい。


しかし、わたしが抵抗するものだから、その場から撤退。


その報告を受けたこの銀髪の人がわたしに興味を持って、自らの目で確かめるために、最近1人でわたしのあとを付け回していたということだ。