「マイの頼みだから、あんたを連れ去って、オレたちMiLLiON(ミリオン)で、たっぷりと遊んでやろうと思ってたんだっ」


…『MiLLiON』。

その名前に、わたしは心当たりがあった。


MiLLiONとは、この辺りを牛耳っている暴走族の名前だ。


しかも、ただ牛耳っているというわけではなく、自分たちの邪魔になるものは即排除しようとする非道な集団。


関わってしまったら…最後。

そう噂されている。


だから、まさかわたしが目をつけられたのがMiLLiONだったなんてっ…。

マイ先輩は、想像以上にとんでもないところと繋がりを持っていたようだった。



銀髪の人が、ゆっくりとフルフェイスのヘルメットを剥ぐ。

現れた鋭い目つきに、思わず体が強ばった。


銀髪の人が一歩わたしに近づくと、わたしは一歩後ろへと下がった。