今日は、久々に晴れると朝の天気予報で言っていたから、傘は持ってきていなかった。


なのに、突然のにわか雨。


近くに雨宿りできそうな場所もなく、わたしは近道をするために、いつもなら通らない路地に入った。


ここは人通りはほとんどなく、昼間でも薄暗い。

しかも、空を黒い雨雲が覆いかぶされば、普段はまだ明るい7月初旬の夕方でも、日が沈んでしまったのかと思うほど暗かった。


あの謎の黒いバイクのこともあったから、普通なら人目につきにくいこの路地を通ることはなかっただろう。


だけどこの数日、あのバイクを見かけることがなかった。

だから、それに少し安心していたのもあって、気味が悪いけれど、今だけこの路地を通ることにした。


それに、ほらもうすぐ路地から出る。


そう思って、気が抜けていた――そのとき。