追ってはこないから、初めはただの気のせいかと思っていた。

でも、こんなに毎日見かけるのだから、…気のせいなわけがない。


それに、バイクに乗っている人はいつも同じ。


フルフェイスで顔は見えないけど、銀髪の長い襟足がヘルメットから見え隠れしていた。


…こんなとき、普通の人なら親に相談するものなのだろうか。


でも、わたしには相談できる人もいない。


唯一、相談できるのは由奈だけだけど、由奈は自分の話に夢中で、バイクの存在には気づいていない様子。

へんに怖がらせるわけにもいかない。


だから、わたしはこのことをだれにも話せずにいた。



それから、数日後。

由奈と別れ、家までの道を下校していたときだ。


あと10分ほどで家に着く。

そんなとき、急に雨が降り出した。


季節は、もうすぐ梅雨明けという7月初め。