「昨日のカレ、実物もむちゃくちゃカッコよかったんだけど〜♪」


そうだった。

昨日由奈は、紹介してもらった男の子とデートだったんだ。


「それでさ〜、次は2人だけで遊園地に行こうって話になって♪」

「そうなんだ…!よかったね」

「うん!むちゃくちゃ幸せ♪」


どうやら由奈は、例の男の子とうまくいっているようだ。

由奈のとろけてしまいそうな顔を見れば、あのあとどれだけ楽しかったのかが、聞かなくてもわかるくらい。


「そういえば、慈美は?あたしに話したいことがあるんだよね?」


そう聞き返され、わたしは言葉に詰まった。


…本当は、昨日の出来事を由奈に相談しようと思っていた。


マイ先輩の指示で、だれだかわからないバイクの集団に連れ去られそうになったと。


だけど、この由奈の幸せそうな顔を見たら、到底こんな暗い話をする気にはなれなかった。