「やめてっ…!!」


初めこそ建物の死角になってだれもいなかったけれど、わたしが予想に反して大きな声を出して抵抗するものだから、その声を聞きつけた人たちが様子を見にやってきた。


「…なんだなんだ?」

「なに…あれ。なんかの撮影?」


すると、わたしの腕をつかんでいた人が舌打ちをする。


「…クソッ。面倒だな」


そうつぶやくと、わたしの腕を離して、他のバイクとともに走り去ってしまった。


…なんとか、解放はされた。

つかまれた腕が、まだジンジンと熱を帯びて痛い。


わたしはその腕を労るようにして、家へと急いだのだった。



次の日。


「慈美、慈美!聞いて〜!」


学校に着くとすぐに、由奈がわたしのところへ飛んできた。


「…あっ。わたしも由奈に話したいことが――」