――もしかして。


「頼まれたのって、…マイ先輩に!?」


これまで結局なにもなくて安心していたけど、突然こんなことになるなんて…そうとしか考えられない。


わたしの質問に対して、一瞬間が空いた。


――ただ。


「さぁ…?どうだろうな」


という言葉が返ってきた。


でも、納得するにはそれで十分だった。


なぜなら、一瞬空いた間と、スモークのかかったフルフェイスの向こう側にかすかに見える…ニヤリと上がった口角。


もう、それが答えを表しているようなものだった。


…間違いない。

わたしを連れ去るように指示したのは、マイ先輩なんだ。


「いいから、大人しくオレたちときてもらおうか」

「…ヤダ!離してっ!」


なにをされるのかはわからないけど、絶対に行ってはいけないということだけはわかった。