「俺、お父さんがお母さん連れてきて挨拶してきた時、凄い嫌な予感したんだ。態度が気味わるくてね。なんていうかな、凄いぶりっ子口調で話しかけてくるんだ。俺の妻も『この子ちょっと苦手かな。うちの実家バカにされた』って顔をくもらせてたんだ。妻がこういうの言うのは相当な時なんだ」
 陽鞠は母のマウント取ってる様子が容易に想像できた。
 出身地から始まって呉松家は由緒あるお家だから、そこの親族になれただけでありがたく思えとか、私の方が可愛いとか、無神経なことをポンポン言っていたのだろうなと。
「ほんとうちの母が申し訳ごさいません……」
 軽く頭を下げる陽鞠に対して、陽貴は陽鞠ちゃんが謝る必要ないんだと宥める。
「お父さんが回復したら、しばらくおじいちゃんおばあちゃんの家にいてもらおうかな。離れて暮らした方がいいと思う」
「私もついてもいいですか? 今は学校あるから……でももうすぐ冬休みなので、しばらく母と離れたいです」
「うーん、塾や学校って大丈夫?」
「あっ……」
 春の台中学校の終業式は12月20日。今日が12日なので、冬休みまであと八日ある。
 三者面談がある間、授業は午前中で終了で早く帰れる。
 しかし陽鞠は授業終わり次第部活が始まる。