自分も母の血がある以上、母みたいになってしまうのが怖い。
 担任以外にも他の先生や同級生や先輩のお母さんから、うちの母のことを知っているようで、ちらほら中学時代のことを聞いている。
 聞けば聞くほど嫌になる。
 心の中で「うちの母がすみません……」と謝りたくなる衝動に駆られる。
 そんなのは所詮自己満足に過ぎないし、何も解決にならない。
 担任もおそらく母の被害者なんだと思う。
 だから私に対してあたりがきつい。
 肝心の母は人にマウントとることしかしない。のうのうと生きている。
 父は家で母に見下されたり、蔑ろにされてもまっすぐ家に帰ってきてくれる。忙しい中今日みたいに三者面談に来てくれた。
 無理をさせたんじゃないかと。
 母の父宛てのメッセージを見て、追い打ちをかけているだけにしか見えなかった。
 こんな状況でも自分のお金しか心配していない。
 それでもっていつも父にお金がないだ、給料が安いだ、仕事がダサいだ言っている。
 叔父があのメッセージを見てどう思ったのだろうか。
 父と母は引き離した方がいい。

「そうか。お父さん、ずっと我慢していたんだろうね。あの時、もっと強く反対していたら良かった……」
 陽貴はお腹の前で腕を組んでため息をついた。