普段のメッセージがこんなノリなら、家での会話も上から目線なのか。
 威圧的というか、読んでいて腹が立つというか……。
「ねえお母さんっていつもお父さんにこんな感じなの?」
 通知をチラ見した陽貴が険しい顔をしながら尋ねる。
「うん。なんて書いてありましたか?」

『今月のお稽古の支払いどうなるの?』
『もしかして働けなくなるの?』
『入院なんて許さないから! 罰として来月お小遣いなしね!』

「いつも上から目線です。父が可哀想です。もちろん私やお手伝いさんにもです」
「お手伝いさん? どこの?」
「母の実家の方達です。毎日母が祖母とお手伝いさんを日替わりで呼んでるんです。家のことは全てお手伝いさん達に丸投げです。お手伝いさんがいない時は父と私で家事をしています」
「一体お母さんは何してるの?」
 陽貴は結花が働いてないことを思い出す。一度働く話が出たものの、悠真は泣き落としに負けてしまって、今に至る。
「さあ、わからないです。多分ランチか買い物かお稽古に行ってるんじゃないですか」
 肩をすくめて冷めた口調で返す陽鞠は、悠真の顔をじっと見る。
「おじさん、父を助けて下さい! このままだと……」
 父が死んでしまう。病気になってしまう。