『世の中そんな大金をいきなり手に入れるなんて怪しいのに、そんなのに釣られてのこのこやってくる人が多くて面白かった』

『稲本庄吾が売れてきて調子に乗ってきてるから、何かスキャンダルないかと思ったら、結花の娘の夫と知り、これで失脚したら面白いと思って暴露した』

『稲本夫妻が、子どもが誘拐されて叩かれてるの見て、メシウマだと思った。これで殺されたらなお良かったかもしれないが、結花に止められたのでやらなかった』

 反省の色はなかった。
 まるで思い出話するかのように、楽しかったなと挑発するだけだった。
 
 
 結花の証言台に立つ番になると、周りは引きつった顔をしたり、眉を顰めたり、「嘘だろ」と呟く声が出てきた。

 裁判官から名前や年齢を聞かれ
「呉松結花です。世界一可愛いゆいちゃんです! みんなゆいちゃんって呼んでね! 年は37歳。せんぎょーしゅふです! ゆいちゃんって呼んでね!」

 媚びを売るかのように、裁判官に上目遣いをしてぶりっ子口調で答えた。

 人定質問で、裁判官から確認するように、結花の本当の年齢や職業が聞かれ「……はい」と不承不承で答えた。
 法廷はさらにざわついたのは言うまでもない。