「嫌だ。お前は俺達が努力して築き上げたものにただ乗りしたいだけ。かき回したいだけ。支配したいだけだろ? 何が変わった? こんな意味の分からん茶番に孫達を巻き込んでさ! ちっともかわってねーな! 本当に変わってるなら自己申告しないし、そもそも俺達の前に来ないだろ?」
「だ、だって、本当に変わったもん!」
「雀百まで踊り忘れずって知ってる? 人間死ぬまで根っこは変わらないって意味。この自己中ぶり、自分のこと未だにゆいちゃんなんて呼んでるし、ほんとメンタル女子中学生以下。しかも前科持ちで、自分がいつまでも被害者と思ってる。極めつけは、私達の子供達を誘拐して自作自演の犯罪。――私が生きて一番恥ずかしいのは、母親があんたってことだよ! とっとと……」
 陽鞠の声が震え出す。

 頼むから目の前から消えて! 私達の生活の邪魔しないで!
 前途洋々な人生を歩めると思ったのに。
 あの人から離れて、地元から離れて、やっと心の平穏を見つけた。
 いつまでも被害者でいたらダメだと言い聞かせて。
 前を向いてやってきた。
 
 やっぱり自作自演だったのかと思うと乾いた笑いしか出ない。
 昔から他人に注目して貰うためなら、あの人だったらやりかねない。