「とりあえずあの人が来たことを考えて、しょうちゃんとこの別荘に預けて貰った方がいいと思う」
 稲本庄吾のことが知られた上で、あの人は彼の実家の別荘の場所までは知らないだろう。
 
「おい、こいつ今日の夜21時から、また放送するみたいだぞ。俺たちについて」
 庄吾はノワのSNSを見せる。
「まるで、ドラマの時間を狙ってるみたいだね」
「うん。一体なんのつもり?」
 まるで私達の足を引っ張ってるみたいだ。
 SNSで今頃私達のことが広まってるだろう。
 見たくない。目を覆いたいぐらいに。
「子供達迎えに行かないと」
 陽鞠は玄関にあるキーケースから、車の鍵を取りに行った瞬間、ドアが開いた。
 ただいまという元気な声。子供達がちょうど帰ってきた。
 「すいちゃん、はくくんお帰り」
 思わず子供達を包むようにして抱きしめた。