庄吾はせっかくあるチャンスを逃したくないと何度も頭を下げた。
 熱意に負けた両親は以下の条件を出した。

 学業と両立すること。
 学校の一部関係者以外、芸能活動のことは一切言わないこと。友人や同級生も含む。
 両親及び家族のことは公言しないこと。

 両親は長く続くとおもっていなかった。もし失敗したら”黒歴史”になるだろうと思い、公言させない方向でいた。
 庄吾も親のコネを頼るのはプライドとして嫌だったので、周りに一切隠して、聞かれてもノーコメントを貫いていた。
 ここ数年、庄吾が少しずつ注目されていき、反対していた両親も頑張りを認めている。
 庄吾が出ているドラマや映画はこっそり楽しんで、感想を送っている。
 両親は会社関係者達や友人達に、庄吾のことを聞かれても、本人に任せてるのでお答えできませんといつも返している。

 陽鞠と庄吾が交際からの結婚の際には、陽鞠の家庭環境や結花のことを考え、内々で済ませた。
 関係者や親族には、他言しないように強く求めている。
 
 ノワは庄吾が既婚者で、その相手が長谷川ひかるであることをはっきり暴露した。

『長谷川ひかるといえば、今放送している、母親もどきの作者。経歴も本名もプライベートも一切公表していない、謎多き作家として知られています』