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 週末、結花は自宅でのんびりくつろいでいた。
 リビングソファーのテーブルには、文庫本4冊積まれている。
 全て長谷川ひかるの作品だ。
『母親もどき』
『うちの奥さん、吸血鬼だったんだが』
『転生先は妖怪達の塾講師』
『おばあちゃま、一緒に事件解決しましょ』

 夕芽華(ゆめか)が勧めたのは全てドラマやアニメになったもので、とっつきやすいかなと選んでくれたものだった。

 本を読んだのはいつ以来だろう?
 中学校の時、毎朝、HR始まる前に15分くらい読書する時間があったね。すっごい嫌だったけど。
 BGMは毎日ルーティンでクラシックで、ページをめくる音しか立てたらだめみたいな雰囲気。
 担任から、できるだけ学校の図書館で借りなさいと言われ、適当にページ数の少ない薄い本ばっか選んでた。

 マジで興味ないし、休み時間に本読んでばっかの子をからかってた。
 何読んでるのから始まり、無視されたら、わざとお茶をこぼして、落ち込んでいる様子をこっそり楽しんでいた。
 もう1回買えばいいじゃんと言うと、毎月お小遣いでやりくりしながら、買っているものだからと泣かれた。
 たかが本1冊ぬれたぐらいで落ち込んだり、泣く意味が分からなかった。