知り合いのいないとこに進学して、やっと自分らしくいられる。
 夫とは大学のゼミで知り合った。
 俳優業と大学の両立をやってると聞いて、うさんくさいなと思っていた。
 1年の時だ。夏のゼミの合宿(という名の遊び)の時、バーベキューで、荷物持ちや火起こしを率先してやっていたら、夫が手伝ってくれた。
 他の女子達は調理するか、サボってるかだった。
 そのサボり魔の先輩が一番わがままで、みんなが動きやすい服装の中、彼女だけ、セーラー服とヒールの高いパンプスでやってきた。
 
 まるであの人を見ているみたいで不愉快さMAXだった。
 調理している女子達もさすがにないわと怒っていた。
 私が力仕事するのは、あの人とみたいになりたくないから。
 女性という属性を使って、弱いアピールして、反感を買ってる姿を何度もみたから、反面教師にした。
 それに今は男女平等を求められるし、性別や立場を盾にして、弱者アピールや主張を通そうとする輩は叩かれる。

 そのサボり魔に夫が強く注意してくれて、スカッとした。
 合宿で夫の強さに惹かれた。
 それ以来少しずつ話すようになった。一緒にいるとなんとなく安心する。
 気づいたら一緒にいるのが当然な関係だったし、娘と息子が生まれた。