恋愛は諦めていたというか、あの人のようになるのが怖くて怯えていた。
 高校時代、男子からちょくちょく告白されていたが、全て断っていた。
 色恋沙汰にかまけてる暇があれば、勉強や趣味に打ち込む方がいいと。
 お陰で学年上位キープし続けてきた。

 その一方で、身に覚えのない嫌がらせをちょくちょく受けていた。
 男好きとか、整形してるんじゃないかとかの事実無根の噂話、物を隠されたり、授業中に渡される手紙で調子乗るなと一言だけ書いたものが送られたり。
 やはり地元の学校だったので、あの人の悪行を知って、それをからかってくるのが一番しんどかった。

 ――私は私。あの人と一緒にしないで!

 犯人は先輩とか他所のクラスの子とか色々。

 友達から『ひーちゃん、密かに男子から人気あるよ』で言われ、耳を疑った。
 どうも近寄りがたい雰囲気がいいと。それで一部の女子で妬んでる子がいると。

 唯一の救いは先生達がまともだったことだろうか。
 嫌がらせした人達は、他に余罪があったから退学になった。
 そもそも地元でも指折りの進学校なのに、こんなみみっちい嫌がらせをする人間がいるのが驚きだった。
 親のことは地元だとついて回るから、早く出たかった。