「うん。確かに。ちょっと落ち着いた感じかな」
 ホステス達の口々に出る感想に、咲羽はなんとなく確信した。
 この声。やっぱりそうだ。
 顔が見えたら一番いいけど、話を聞いてたらとてもじゃないけど無理かな。

 あとは、夫と娘がどこに住んでいるか。
 都会に住んでるのは知っている。それが目当てで上京したようなもの。
 れんげで働いていた時に、個人を調査する人達にお願いしたら、そういう結果が来た。
 
 こういうときに、マスコミか出版関係のつてがあればいいんだけど。
 最近は一般人でもSNSやネット上の情報をもとに、住所や経歴や勤め先突き止めることが出来るっていうし、そういうのを依頼したらやってくれる人もいるから、お願いしようかな。
 
 謎の多い作家路線で売ってるみたいだから、実母ですって公言して、あれこれ、からかってあげようかな。
 おたおたしてるとこ見たいし。
 親を(ないがし)ろにした罰をうけてもーらお。
 咲羽はホステスに悟られないように、心の中でほくそ笑んだ。