「私、ずっと思ってたんですけどね、呉松さん、多分見た目以外で、褒められたことがなかったんじゃない?」
 それか褒める要素が見た目しかなかったから。
「えっと、そうですかね?」
 そういえば、前も似たようなことを言われたようなと思い出す。
 スーパーで働いていた時に、教育係的な人に。
 最初は色々言われて嫌なやつだと思っていたけど、休憩時間の時は優しかった。
 あれができた、これが出来るようになったと見つけてくれては褒めてくれた。
 元気にされてるだろうかとふと思い出す。

「確かに一理ある。お兄さんとお姉さんが優秀だったからねぇ」
「うん。そうかもしれない」
 
 周りの人はいっつも見た目だけコメントしていた。
 小学校の頃に、同級生で困ってる人を助けても、絵で頑張っても、兄と姉に追いつけるように勉強を頑張っても、誰も褒めなかった。
 アピールしても気づいてくれなかったり、特に触れられることなかった。
 容姿端麗文武両道を求められている感じだった。
 
 母はいつも可愛いねしか言わない。
 学校で頑張っても、勉強はできなくたっていいのよ。何も出来なくたっていいのよ。お姫様だからみんなが手伝ってくれる。
 そんなに可愛いというなら、芸能界に入れてよって言ったことがある。