「まー、昔っからあの人頭下げたことないのが自慢ですし……頭下げて貰うのが当たり前みたいな環境でしたから」
「うわぁ、悪いことしたらごめんなさいって言うもんじゃないですかね」
 スタッフ達の視線が結花に向けられる。

 どーしよー! 今ここで大人しく謝った方がいいの?
 だって、ゆいちゃんを不愉快にさせた方が悪いんだし。だいたい、ゆいちゃんは被害者よ?
 あの陰キャが先に手をだしたんだからさ。
 それに腰痛いし。どうしよう? 早く病院いきたい。

「呉松さん、謝ってくれますかね? あなたの言動はさすがにないと思いますよ?」
 浅沼が強い口調で詰める。
 眉根(まゆね)をよせて、鋭い目つきで結花を制した。
 結花は言葉に詰まった。

 昔からかってきた同級生が、大人しくやられてばかりだった人が、こんなに厳しく言ってきて、視線を思わずそらしたくなる。

「わ、わかったわよ。す、すいませんでした」
「僕じゃなくて、郡山くんに向かって、きちんと言って。ふざけてるのかい?」
 結花は不承不承(ふしょぶしょう)で郡山の方に顔を向けて「すいませんでした」と抑揚(よくよう)のない声で謝罪した。

 とりあえず謝ったからもういいよね?! 
 済んだことだし!