それでも、同級生達が先生達が友達が、止めてくれた。
 
 みんな言う。

『郡山くんはめったに怒らないし、思いやりがあって面白い子。でも優しすぎて騙されたり、利用されたりするのが心配』

 今回はどうしても許せなかった。
 桃花ちゃんも有里波ちゃんも恭弥くんも、仕事はもちろん、就職する前から寝食を共にしてきた仲だ。
 
 呉松さんは、昔から容姿や環境に恵まれてきたんだと思う。
 自分で世界一可愛いって言うぐらいだし、いつも天下の呉松家のお嬢様がどうのこうのって言ってるし。
 だから、僕たちのような人のことは、他所の国の人にしか見えないんだろうね。
 でもその異国の人が大切にしているものを、いとも簡単に否定した。壊してきた。
 だからどうしても許せなかった。きっかけは業務上の注意だけど。
 
「うん。郡山くんは許せないのは無理もないと思う。手をだしたくなる気持ちは分かる」
 うんうんと吉岡も頷く。
 日頃から吉岡も結花の横暴さにうんざりしている。
 しかし自分自身が暴行事件で解雇になったことがあるから、それを律するために必死になっている。
 結花も分かっていて、反抗的だったり、吉岡に挑発した発言が多い。
「呉松さん、ほんと、いつまでも若いね。昔からのままで」