落合は「そうですか?」と結花のことがバレないように取り繕っていたが、荷物の仕分けがしんどそうだった。
 時間かかりつつも、なんとか終わらせて、退室するときの足取りがなんとなくおかしかったので声をかけた。
 落合は最初「なんでもないです」と答えたが、最近彼女の様子が元気ないことを周りから聞いていたので、世間話がてら色々聞かせてと話を引き出した。
『呉松さんに足踏まれたんです』とぽつり漏らした。

 大きな音や声が苦手なのを知ってるのか、耳元で悪口を言われたことも。
 郡山が数日前ホースで水をぶっかけられたことなども。
 他のメンバーも結花の憂さ晴らしの道具にされていて、言うこと聞かなかったら、嫌がらせすると脅されていること。

 浅沼は営業部の部長から郡山の件を聞いていた。
 あれはガチだったのかと同時に、思わず「相変わらずだな」と呟いた。
 この際だからと、浅沼は結花の過去について話した。

 お互い中学校時代の”同級生”であること、かつて結花に杖を壊されたり、何回も盗まれたことがあること、嫌がらせを受けていたこと。
 彼女は障害のある同級生(男子)に、わざとパニックを起こさせ、暴れさせて、自分が被害者になれるように仕向けていたことを話した。