『自殺するのは所詮それまでですから。むしろ雇ってやっただけでありがたく思ってくださいよ。金づるの癖に、配慮してほしいとかウザいんですよね。だから罰としてヘッドホン取っただけですよ』
『あんなもんなくたって仕事出来ないなんか、ダメでしょう。遊んでるように見えますし、態度悪いようにも誤解されるだけですから。まぁ、取り上げたら暴れるもんで、こっちは参ってたんですよー』

 妹の上司が喜色満面で言った言葉。 
 まるで厄介者がいなくなって、嬉しいと言わんばかりに。
 今、呉松さんの姿がその上司と似ている。
 こんな感じで妹も嫌がらせ受けていたのかと。
 
「呉松さん、あなた何言ってるんです? 搾取されるのがお似合い? ふざけんなよ!」
 野澤は声を荒げて結花に詰め寄った。
「え? なに? そんな怒ること? たかがそれぐらいでさぁー、冗談でしょ。役に立たないなら、それななりの仕事があるってこと。分相応ってやつ」
 ヘラヘラ笑いながら「もー、怖いんだからぁ」と続けた。
「――いい加減にしてくれます? 役立たず? 搾取されるのがお似合い? ふざけんな!」
 野澤の声が大きくなり、部署の人達の目が2人に集まる。
「え、なに? マジになってる?」