けらけら笑いながら「それより、あの服部のババアに死ねって言われたんだよねぇ」と話題を変えた。
「よく同僚にあれ呼び出来ますね。もう少し言い方なんとかした方がいいと思いますよ。仮にも仕事仲間なんですから」
 野澤はいらついてきたのか、少し強い口調で窘めた。
「仕事仲間? え、あんなのゆいちゃんの”召使い”よ? ゆいちゃんは世界一可愛いから、人に使われるより、使う方が性に合うの。だいたい役立たずで頭弱いんだから、搾取されるのがお似合いよ? ゆいちゃんお嬢様だから、汚れ仕事なんてむりぃー」

 野澤は「えっ?」と思わず口に出した。
 
 嘘だろ。仕事にしに来てるんだろ?
 何が搾取されるのがお似合いだよ?!
 まるで自分が支配者になったような言い草だけど。
 一体呉松さんは何様なんだろう?
 だいたい彼らは色々持病や特性があって、あれこれが苦手で業務に支障きたすから、配慮してもらっている。その分、別の所でカバーしている。
 彼らを見ていると、2年前に亡くなった妹と重ねてしまう。
 同じく知的障害を持っていて、職場で働いていたが、同僚に嫌がらせを受けて自殺した。
 会社で"問題児”という汚名を着せられたまま。

『今まで甘やかされてきたんですから。私は”平等に”接したまでです』