結花のスマホには形だけの連絡先として、父の明博、兄の良輔、姉の静華、娘の陽鞠、元夫の悠真、そして親友の加藤望海、あとはチャレンジ枠の丸岡と服部つかさ、社長の浅沼響、社員寮の寮母や就職と生活支援してる福祉系の会社など。
 身内は形だけ登録され、結花自ら電話やメッセージ送っても返事はない。
 相手に履歴が残るだけ。
 メッセージの内容は身内の間で「こんな内容送ってたんだぜ」と回覧されている。
 浅沼工場と呉松家の会社が取引関係ということもあり、響が良輔に結花の近況や勤務態度を話している。
 良輔としては”身内”の安全を守るのと、ネタにするために野次馬根性メンタルで話に付き合っている。

『あいつが金銭で困ったり、病気や入院になったり、警察のお世話になったり、野垂れ死にしようが、一切引き取らない。父への裏切りの象徴である以上、父の近況も教えない。葬式は教えてやろうかと思う。”他人”にそこまでやる義理なんてない。前途洋々な人生や老後はできないな。一生因果応報受けてればいい。響さんもあいつの被害者だから、存分に可愛がってやってください』

 良輔は結花の近況を聞いてからいつも言っている言葉だ。
 何かあっても、支援もしないし、勝手に死んでくれて結構ということで。